日本のR&Dと世界の未来をつなぐ vol.4 事業理念と本事業の意義

2018.10.30

テクノロジーイメージ

 

こんにちは、代表の大野です。

 

当社の事業理念を説明するシリーズの第4回目です。

 

前置きが大変長くなりましたが。。

いよいよ今回は、事業理念と本事業の意義についてのお話をしていきたいと思います。

 

前回は、日本の大手企業が、一時期、集中的に特許をとりまくった影響で、

特許の管理コスト増であったり、使われない特許が増えてしまったため

 

オープンイノベーションにより、代わりに他社に自社特許を活用してもらうことで、

新たな事業・イノベーションを生み出そうとする動きが生まれた、

 

というところまでお話をしました。

 

<バックナンバー>

 
 

今回は、オープンイノベーションと特許活用の詳細について入るにあたって、

まずちょっと視野を広げて、

世界と日本の研究開発の現状、

および世界と日本の特許の現状について見てみたいと思います。

 

 

▼世界と日本の研究開発費の現状

研究開発(R&D)といえば、イノベーションの種みたいな立ち位置で、

新しい技術・方法などを見つけ、新製品にすることで、

莫大な収益を生み出す活動にもつながるものです。

では、日本の研究開発は、世界の研究開発と比較して、

現在どんな状況なのでしょうか?

 

経済産業省の発表している資料をもとに、

傾向を測る大きな数字をグラフと表に列挙してみました。

 

研究開発費について

 

研究開発費について

引用:「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向」より(平成30年2月 / 経済産業省)

http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/tech_research/aohon/a17_3_zentai.pdf

 

昨今のGDPからお察しだったかもしれませんが、

 

研究開発費を投下しているのは、1位はアメリカで、2位は日本ではなく中国です。

 

そして、3位が日本というのは、予想通りの結果だったと思います。

 

それにしても、日本は3位は3位でも、

上位2国には大きく水を開けられていますね。。。

 

 

▼日本企業と中国企業の研究開発費の現状

続いて、日本を代表する製造業パナソニック社と、

中国を代表する製造業ファーウェイ社の研究開発費の状況を

売上と対比して見てみることにします。

 

<2015年期>

◆ファーウェイ

 売上高  :約7兆3274億円(3950億人民元)

 研究開発費:約      9876億円 ( 596億人民元)

◆パナソニック

 売上高  : 7兆6263億円

 研究開発費:         4388億円

 

<2017年期>

◆ファーウェイ

 売上高  :約10兆4366億円(6036億人民元)

 研究開発費:約 1 兆4830億円  ( 896億人民元)

◆パナソニック

 売上高  : 7兆9821億円

 研究開発費:         4488億円

 

引用:huawei annual report 2015

https://www-file.huawei.com/-/media/corporate/local-site/jp/about-huawei/annual-report-2015/huawei%20annual%20report%202015%20jp.pdf?source=corp_comm

引用:huawei annual report 2017

https://www.huawei.com/-/media/CORPORATE/Local-site/jp/About-Huawei/Annual-Report-2017/Huawei%20Annual%20Report%202017%20JP.pdf

引用:パナソニック アニュアルレポート2018 10年間の主要財務データ

https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/anuual/81j.pdf

 

パナソニックを悪く言うつもりは全くありませんが、

 

ここ10年において、パナソニック社の研究開発費の投下具合は、

だいたい毎年約4000〜5000億円。

それに比べて、売上高は横ばいとなっています。

 

それに対して、中国のファーウェイ社の成長具合といったら

目を見張るものがあります。

 

ここ5年で売上は約3倍となり、

ついに日本の製造業の雄であるパナソニック社を抜き去ってしまいました。

 

研究開発費の投下額も、

最新年では、なんとパナソニック社の3倍。。。

 

研究開発への投下をうまく売上に転換できている

とも見ることができそうです。

 

 

▼世界と日本の特許の状況

では、研究開発の成果でもある特許についての状況は、どうでしょうか?

特許庁のステータスレポートを調べてみました。

 

<特許出願件数>

 

特許出願件数

 

特許出願件数

 

<特許登録件数>

 

特許登録件数

 

特許登録件数

引用:特許庁ステータスレポート2018より

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/pdf/status2018/all.pdf

 

すごいですね、中国。

文句なく特許申請件数、特許登録件数で世界No.1の座に君臨しています。

 

でもみなさん、ちょっとお待ちください。

 

「はい、負けました。」

となるのは、ちょっと早いです。

 

この事実を別の角度から見て見ましょう。

 

 

▼世界と日本の特許登録転換率

先にも述べましたが、特許というのは出願申請から、審査を経て、登録に至ります。

 

つまり、審査があるということは、

申請すれば全てが登録されるわけではありません。

 

審査項目には、様々ありますが、

主には、新規性や進歩性をいうものを軸に

登録するかどうか判断しているようです。

 

つまり、数打ちゃ当たる、という感じで、

バンバン特許を申請すること自体は、お

金さえあればできてしまうのですが、

 

登録されるかどうかは、質の高い研究であり、

他者がまだやったことない研究成果であるかどうかがポイントとなるわけです。

 

そんな観点で、特許申請数に対して、

どれだけの割合で特許登録がされたかを見てみるとどんな結果になるでしょうか?

 

<特許登録転換率>

 

特許登録転換率

 

もちろん、2014年に出された特許を2016年に登録したり

2015年に出された特許を2016年に登録したりするので、

 

2016年の特許出願数を、2016年の特許登録数で割るのは

正確な登録転換率は、算出できないのは承知の上ですが、

 

当該3カ国は、ここ数年は似たような推移であるため

傾向がわかる指標には、十分なると思います。

 

それを前提に見てみると、驚くべきことに、

特許申請件数ランキングの上位3カ国の順位が入れ替わりました。

 

ご覧の通り、

特許申請件数に対する登録率は、日本が世界一なんです。

 

これは何を意味しているでしょうか?

 

もちろん特許申請件数や、絶対値としての特許登録件数は、

アメリカ・中国に及んでいないことは、

 

日本の研究開発スピードの遅れ、

を意味していることに間違いないでしょう。

 

しかしながら、特許登録転換率が高いというのは、

特許として申請されようとしている

日本の研究開発の成果物は、

世界的に見てもやはりまだまだ質が高い

 

と見てとることもできるのではないでしょうか?

 

とはいえ、世界の国別GDPが表す通り、

質の高い研究成果を持っているにも関わらず、

日本の成長率が停滞しているのは、

 

研究成果をうまく事業化だったり

イノベーション創出に活用できていないことの現れです。

 

いいもの・いい技術を持っているけれども

それを活かしきれていないというのは、なんとも日本らしいですが、

 

これをもっと世界に発信していくことは、

日本の活路である、進むべき道なのではないでしょうか?

 

ここまでくると、当社の事業の意義というものが、

少しずつお分かりいただけるのではないかと思います。

 

日本に眠る研究成果や、

マネタイズすべき特許技術というのはたくさん眠っているはず。

 

問題は、それを誰がどうやるかというところです。

 

現在のグローバルな市場環境において、

日本のR&D成果を、世界に広めて、

日本や日本企業を活性化していく、そんな必要性と使命感を感じて、当社は事業を行っています。

 

当社の事業理念は

 

日本のR&Dと世界の未来をつなぐ

 

です。

 

ということで、長くなりましたが、

次回は、実際に当社の事業についてのお話をしたいと思います。

 

つづく

 

日本のR&Dと世界の未来をつなぐ

vol1.特許について
vol2.特許料について
vol3.事業化の背景
vol4.事業理念と本事業の意義
vol5.事業内容について


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