日本のR&Dと世界の未来をつなぐ vol.2 特許料について

2018.10.23

特許イメージ

 

こんにちは、代表の大野です。

 

当社の事業理念を説明するシリーズの第2回目です。

 

前回は、特許についての概要をお話しました。

今回は、その特許に関連した特許料にまつわるお話です。

 

特許を出願、登録、保有するには、果たしてどのようなお金がかかり

どのぐらいお金がかかっているものなのでしょうか?

 

今日はそのあたりをお話していきたいと思います。

<バックナンバー>

 
 

▼特許料について

さて、さっそく特許料についてのお話をしたいと思います。

 

特許に関わらない方々にとっては、

なんとなく聞いたことがあるぐらいでしょうが、特許にまつわる費用は

特許料だけではなく、実はいろいろあるんです。

 

前回のブログでお話した

発明から特許の権利化までの各ステップにおいて

それぞれお金がかかるようになっています。

ざっと挙げると

 

1.出願料

2.審査請求料

3.審査関係手数料

4.特許料・登録料

5.その他

 

こんな感じです。

 

※詳しくは特許庁HPを参照のこと

https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/hyou.htm#sinsaseikyu

要するに、

まず発明を出願するときに、出願料というのがかかって

 

出願するだけでは審査してくれなくて

審査してね、という意味で審査請求料がかかって、

 

途中で拒絶されたり審査に不服だったときに再審に審査関係手数料がかかって

 

最後審査が下りると、特許を登録するために

特許(登録)料がかかります。

さらに、特許料というのは、登録時に納付すれば終わりではなく

毎年毎年権利を維持し続ける限り発生するものです。

 

さらに極め付けは、この特許料というのは

最初10年は、3年置きに料金が上がっていき、10年以降で頭打ちになります。

 

特許料

※引用:特許庁HP:産業財産権関係料金一覧より抜粋

https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/hyou.htm#sinsaseikyu

 

10年以降からすごい金額の跳ね方がですが。。。

かかるものはしょうがありません。

 

これでもかなり安くなったほうなんです。

毎年払うか、まとめて数年分払うか選択できたはずですが

とにかく、権利を持っている以上、

特許料といわれるものがかかるということです。維持年金と呼ばれたりもします。

 

 

▼特許料を試算してみよう

さて、ここまで話した特許料のテーブルをもとに、

毎年かかる特許料を試算してみます。

 

果たして各企業は毎年どのくらいの特許料を

特許庁に納めているのでしょうか?

ここでは、仮に仮想の大手製造業A社をもとに試算をしてみたいと思います。

試算の前に、A社について特許まわりでいくつか定義しておきます。

 

<特許保有件数>

日本の著名な大手製造業だと、だいたい数万件の特許を保有しています。

 

この辺は、各社のIRレポートなどで公表されていたりしますが、

今回は、仮にA社は3万件の特許を持っていたとしましょう。

先に提示したテーブルをもとに、保有年数によって特許料は変わるので

保有特許のばらつきは、以下であると仮定します。

 

特許料

さて、保有している特許3万件のうち、適当に権利保有年数別に割り振ったんですが

これをベースに計算してみたいのですが、請求項加算という見慣れないものがあるので

先に、これについて少し説明をします。

 

<請求項>

1つの特許を出願するにあたって、「請求項」という単位で、

その権利範囲を定義することができます。

 

特許は、先に述べた通り、先願主義なので、先に特許を出願されてしまったら、

もちろん同様の技術は出願できなくなるんですが、

 

テクニックを使えば、そのスキマをぬう形で出願することができたりします。

そのスキマを防ぐのも許すのも請求項だったりします。

例をあげて説明するとわかりやすいと思うので

 

例えば、特殊な技術を使って、素材に洗剤が塗り込まれた、

「使っても使っても汚れない食器カゴ」を発明したとします。

 

そんなものはないと思いますが、空想世界として、あったと思い込んでください。(切実)

 

雑ですが、以下のように特許を出願したとします。

★発明タイトル:汚れ防止容器

 

★請求項:

【請求項①】 アルミ製で素材に食器用洗剤を塗り込んだ食器を収納する容器

【請求項②】 プラスチック製で素材に食器用洗剤を塗り込んだ食器を収納する容器

【請求項③】 木製で素材に食器用洗剤を塗り込んだ食器を収納する容器

 

【請求項④】 アルミ製で素材にお風呂場用洗剤を塗り込んだ食器を収納する容器

【請求項⑤】 プラスチック製で素材にお風呂場用洗剤を塗り込んだ食器を収納する容器

【請求項⑥】 木製で素材にお風呂場用洗剤を塗り込んだ食器を収納する容器

 

【請求項⑦】 アルミ製で素材に食器用洗剤を塗り込んだ衣類を収納する容器

【請求項⑧】 プラスチック製で素材に食器用洗剤を塗り込んだ衣類を収納する容器

【請求項⑨】 木製で素材に食器用洗剤を塗り込んだ衣類を収納する容器

 

【請求項⑩】 アルミ製で素材にお風呂場用洗剤を塗り込んだ衣類を収納する容器

【請求項⑪】 プラスチック製で素材にお風呂場用洗剤を塗り込んだ衣類を収納する容器

【請求項⑫】 木製で素材にお風呂場用洗剤を塗り込んだ衣類を収納する容器

 

上記の各請求項の違いに気づきましたでしょうか?

 

それぞれに、素材の種類や、洗剤の種類や、用途の違いがあります。

それらを各請求項で定義しているわけです。

 

ここには記載していませんが、

もちろん、各請求項の詳細についても、

実際の特許公報には記載されています。

まず、請求項①〜請求項⑥までのみで、出願していたとします。

すると、この特許をみた他社が、同じ素材を使って、洗濯物カゴを考案して特許を取得してくる可能性があります。

 

また、請求項①〜請求項③と請求項⑦〜請求項⑨までの6つのみで出願していた場合

この特許をみた他社は、食器用洗剤以外の洗剤を使って、類似製品を作れないか研究開発をして特許出願してくるかもしれません。

そのため、他の請求項も、合わせて出願しておくことにより、

もともと食器カゴで発明した特許でも、

衣類カゴにも転用してビジネス展開できるようになるというわけです。

こうした複数の請求項を使って、範囲を広げて定義することによって

防衛範囲を広げることが可能になります。

しかしながら、悲しいかな、

請求項を増やせば増やすほど、

 

先に掲示したテーブルの通り、

特許料は増えていきますので、どこまで幅広く抑えるかお財布と相談

といった悩みのタネにもなってきます。

じゃあ、ということで、特許料を節約しようと、仮にこの請求項をまとめて

 

任意の素材任意の洗剤を塗り込んだ生活用品を収納する容器」

 

みたいな、全部のせ請求項にしてしまうと

範囲を広げすぎたことにより、既存の特許と少しでも抵触してしまって

そもそも審査落ちの原因になってしまったり

 

抽象度が高すぎて、

新規性・進歩性の判断がしにくくなって審査落ちしてしまったり

 

特許の内容が具体性に乏しくなく、

やってることが同じでも特許の取り方が誤っているがゆえに

他社に特許を取られてしまうことだって考えられます。

請求項の出願の仕方にも、きっとテクニックが様々あるんでしょう。

(詳しくは、専門家である弁理士の先生などに相談しましょう)

上記に挙げた例が、よかったのか悪かったは置いておいて

イメージをつかんでいただければ幸いです。

話は長くなりましたが、この請求項というものについて

 

日本における1つの特許における平均請求項の数は、

2016年で

 

請求項数 10.1  / 1特許あたり

 

だそうです。

※参考:特許行政年次報告書2017年版(14ページ)

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2017/toukei/all.pdf

 

推移としても、だいたい毎年9〜10の間で推移しているようなので、

今回の試算では、計算のしやすさを含めて、各特許の請求項はすべて10にします。

 

<特許料試算>

では、いよいよ年間の特許料を試算してみたいと思います。

 

厳密に言うと、保有年数「第1年から第3年」の特許は、

初回登録時に3年分一括前払いするのが通常のようなので

 

年ベースで計算することは、正しくはないようですが、

わかりやすく今回は、1年ずつ払ったものと仮定します。

 

特許料

 

★第1年から第3年まで

基本料( 10,000件 × 2,100円/年 ) +   請求項 ( 10,000件 × 請求項10 × 200円 )

= 4100万円

 

★第4年から第6年まで

基本料(   5,000件 × 6,400円/年 ) +   請求項 ( 5,000件 × 請求項10 × 500円 )

= 5700万円

 

★第7年から第9年まで

基本料( 5,000件 × 19,300円/年 ) +   請求項 ( 5,000件 × 請求項10 × 1,500円 )

= 1億7150万円

 

★第10年から第20年まで

基本料( 10,000件 × 55,400円/年 ) +   請求項 ( 10,000件 × 請求項10 × 4,300円 )

= 9億8400万円

★年間合計特許料

12億5350万円

いかがでしょうか?

 

A社は、何もしなくても特許を持っているだけで

年間12億円以上もの特許料がかかっていきます。。。

僕たちベンチャー企業にとって12億円の売上をあげることは

ものすごく大変なことで、

上場近くなってきた企業ぐらいのフェーズの売上ですし、

 

利益で考えるなら、毎年12億円以上の利益を出すのは、

マザーズに上場している企業でも

そう簡単なことではないでしょう。

 

従業員を雇用する場合の人件費で換算した場合

年収500万円のスタッフ240人分に相当する金額です。

特許は単に保有するだけでも

大変なことなんだと、お気づきいただければ、書いた甲斐がありますね。

と、ここまで特許と特許料についてのお話をしてきました。

 

次回から、いよいよこの特許というものを活用した

当社の事業と、事業理念についてのお話に入っていきたいと思います。

 

つづく


Top