日本のR&Dと世界の未来をつなぐ vol.5 事業内容について
2018.11.02
こんにちは、代表の大野です。
当社の事業理念を説明するシリーズもの、最終回の第5回目です。
前回までで、特許についてと、当社の事業理念と事業の背景・意義についてお話をしました。
<バックナンバー>
今回は、現在実際にどのようにして
それを事業として進めているのかについてお話をしたいと思います。
▼事業について
よく事業名はなんですか?と聞かれるのですが、
言うなれば
「特許SDK/APIライセンス事業」
となります。
しかし、そういった事業名だけで、
何をやっているかがあまり伝わらないためか
「それってなんですか??」
と聞かれたり、
(あ、やべ難しそう…)
と感じられて
「あ〜、特許ですか。ふーむ…。
あ、ちょっと他の人に呼ばれているので失礼…」
と適当に流されてしまっていました。。
そのため、ホームページ上でもいろいろ試行錯誤して
・テクノロジーイノベーション事業
・特許活用支援事業
・特許ソフトウェア化事業
・技術支援事業
などなど、いろいろ試してみたんですが
どれもしっくりこず、
かつ、理解されず、
結果、事業名は特につけないことに至っています(笑)
インターネット黎明期に、
「サーバのホスティング事業」なんていっても
全く伝わらなかったように、
はじめたばかりの事業は
なかなか理解されにくいのかなと思いますし、
実績を上げていく中で浸透していけばいいなぐらいに思っています。
▼事業内容
さて、では、具体的に当社の事業モデルについてお話をします。
会社ホームページで、うちのスタッフがいい感じでスキーム図を描いてくれていますが
日本国内の大手企業が保有する特許技術を、当社が選別して、
当社が使いやすいような形にソフトウェア化をして、
そのソフトウェアを利用したい企業様へ
ライセンスしていくモデルとなります。
現在は、大手企業様は、パナソニック社のみとなりますが、
世界でも有数の特許保有企業であるパナソニック社の特許の中から、
主に、社内で使われていない技術を選定させていただき、
当社で技術開発、実用化開発を行なっています。
実際にただそのまま開発をしているわけではなく、
基本エンジン自体は、当社が独自に開発を行い、
差別化要素として、一機能にパナソニック社の特許技術を取り入れさせてもらっています。
なので、パナソニック社の代理店のように思われがちなのですが、
特許は、パナソニック社のものであっても、
ソフトウェアは当社が開発し、当社の権利であったりもします。
まだはじめて2〜3年といったところなのですが、
まずは、音声による感情認識技術、虹彩認証技術などといった技術を選定させていただき、
本技術を企業様へライセンスをしています。
▼ビジネスモデルとWin-Win関係
本ビジネスモデルに関わるステークホルダーとしては、
大きくわけて、特許提供事業者、特許SDK/API利用事業者、当社の3つとなります。
それぞれのメリットを見ていきたいと思います。
①特許提供事業者さまのメリット
現在、特許提供事業者さまとして、
パナソニック社より特許をご提供いただいているわけですが
当然、パナソニック社が自社で使いたい特許技術というのもあるため
パナソニック社で社内で使わない特許を
当社が選定できるような関係性を持たせていただいています。
ただ、パナソニック社が使わないからといって
質の低い特許というわけでは必ずしもありません。
これも当社がこの事業をはじめてから知ったのですが、
大手企業になると、まだ可能性がある特許や
良質な研究成果である特許技術であっても
大きな事業方針から、社内活用から外れてしまったことが原因の
よい技術というのも、多々ありました。
また、パナソニックの事業規模でのぞむリターンを得られないといった
例えば100億円以上の事業成長が見込めない技術であっても
中小企業ならば、事業化余地が十分あるものもたくさんあります。
そういった技術は、
パナソニック社内では活用しないものの、簡単に権利放棄できないため、
本事業にのっかって、マネタイズをしていくことで利活用が可能になります。
特許技術を取り入れ、当社がソフトウェア化したものを
本導入していただいた企業さまからは、ライセンス利用料をいただき、
その一部をパナソニック社へバックします。
それにより、パナソニック社は新たな収益源を得ることができます。
②特許SDK/API利用事業者さまのメリット
今回当社が選定させていただいている、虹彩認証技術や、感情認識技術というのは
基礎研究などを含めて、実用化までに膨大な時間と研究開発費を必要とする技術です。
そのため、このような要素技術は
人員や資金が豊富な大手企業が実用化できるものとして、
中小企業などには、なかなか事業として参入することは難しく
その代理店になる、などといった事業の関わり方がメインとなっていました。
しかしながら、大手企業が莫大な資金と時間をかけて生み出した研究成果が
SDKやAPIといった形で、簡単に自社で導入できるようになると
どうなるでしょうか?
まず、第一に、開発時間が大幅に削減されます。
最近では、便利で強力なオープンソースが出回っているため、
要素技術の開発もかなり、安価に開発できるようになってきました。
しかしながら、研究実験を繰り返してパラメータを算出する部分などについては
開発時間といったところが、どうしても障壁として立ちふさがります。
開発時間を短縮するには、開発人員を増やせばいいのですが
大手企業のように研究所をもって、専門研究員を保有できる企業は
中小企業ではなかなかいないのではないかと思います。
第二のメリットとしては、開発コストの削減です。
開発時間の削減ともつながりますが、できあいのSDKやAPIを
自社サービス/自社製品に組み込むだけで、
社内イノベーションの創出が可能になります。
第三のメリットとしては、大手企業の特許技術を活用できることで
有用な技術を自社に取り込めることです。
このメリットは多方面に派生して、
例えば、大手企業の特許として保持されているものなので
その部分については、特許を踏むリスクを無くせることや
特許の利用許諾を受けるまでの交渉コストも
ソフトウェアに落とし込まれているため、大幅に減り
かつ当社が一括して窓口となっているため、当社と契約書を締結するのみとなります。
より広い視野でみると、
限られた企業しか開発できなかった技術が
多くの企業が使えるようになることによって、
世の中へのテクノロジーの普及が促進される効果もあることでしょう。
③当社のメリット
当社の本ビジネスを運営していく以上、
特許SDK/APIをライセンスしていくことにより、
ご利用事業者様からライセンス料をいただく形になります。
そのため、ご利用事業者様が増えれば増えるほど
当社が、次の特許SDK/APIを開発できる原資となり
様々な種類の特許SDK/APIを開発できれば
それだけ、技術を必要としている事業者様にご提供できる範囲が広がってきます。
▼オープン・クローズド戦略
このように、三方よしとなるビジネスとして
本事業はまだまだはじまったばかりです。
しかしながら、これまで自社で独占するための特許を
他社にソフトウェアとして使ってもらうことで、
新たなビジネスにしていくというのは、新しい取り組みです。
確かに特許というものは、
権利として保護されているので、
それを他社にライセンスしても、大事な部分は保護できて
かつ、他社とオープンイノベーションを通じて、新たな事業を創出できます。
こうした、一定の保護する部分はクローズドのままで
それ以外の部分をオープンにする戦略を、オープン・クローズド戦略といいます。
これまで特許の活用といえば、
使っていない特許を、特許自体を他社へ売却することや、特許を貸し出すこともありましたが
特許というのは、そもそも単なる情報にすぎない、という側面もあります。
当社の場合は、特許という情報を、ソフトウェアというモノにまで落とし込むところに
ポイントがあります。
オープン・クローズド戦略の観点からいけば、
クローズドにしていた部分が特許という「情報」にとどまっていたものが
ソフトウェアという「モノ」にまで、クローズドにする範囲を広げることになります。
モノにまで落とし込まれた、クローズドなコア部分であれば
それをオープンにされて、他社が取り入れる際に情報よりも活用までの道のりが
ぐっと短くなることは明らかです。
オープンイノベーションの間をとりもつ意味もあり
その潤滑油の役割としても担うべき、当社は本事業を進めていきたいと、切に思っています。
おわり
日本のR&Dと世界の未来をつなぐ
vol1.特許について
vol2.特許料について
vol3.事業化の背景
vol4.事業理念と本事業の意義
vol5.事業内容について
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