日本のR&Dと世界の未来をつなぐ vol.1 特許について
2018.10.20
こんにちは、代表の大野です。
今日から何回かに分けて、当社の事業理念のお話をしたいと思います。
事業理念をお話するにあたって、様々なことをお話していく必要がありますが、
まず、現在当社で進めている事業は、簡単に言いますと、
大手企業の保有する特許のマネタイズをお手伝いするものです。
おそらくこれまでにないような事業モデルなので、試行錯誤を繰り返しながら進めており、
なかなか理解されないのも事実なので、このブログという場を使って、事業理念とその事業について数回にわたって説明できればと思います。
(けっこう真面目な話になります)
▼特許について
さて、まずはじめに、事業化の背景からお話をしようと思って
筆をとったのですが、(正確には「キーボードに指を置いたのですが」)
その前に、特許についてのお話をしておきたいと思います。
釈迦に説法、すでによくご存知の方もたくさんいるかもしれませんが、ご容赦ください。
では、さっそくスタートです。
特許とは、一言でいえば、発明を法律的に保護する仕組みのことと言えるでしょう。
例えば、かの有名な発明家トーマス・エジソンのいる時代に
仮に特許という仕組みがなかったとします。
エジソンさんは、ものすごい苦労と研究を重ねた結果、
蓄音機を発明することに成功しました。
新聞記者たちが駆けつけ、世の中にその事実を発表すると、
嗅覚のするどい銭ゲバ社長さんが、それをかぎつけて、
同じものをいち早く製品化し、エジソンさんよりも先にガツガツ稼ぐようになります。
すると、
「へっへっへ、こりゃ下手に頑張るより
エジソンの発表を待ってから、それをパクって製品化し続けていけば、ゲバゲバ儲かるな。」
なんてことを多くの銭ゲバ社長さんが考えるようになります。
すると、エジソンさんは、せっかく自分が苦労して発明をしたのに
銭ゲバ社長さんだけが儲かって、自分にはほとんどリターンがない状況に陥ります。
果たしてエジソンさんは、次も多大な苦労をしてまで
素晴らしい発明をする意欲が湧くでしょうか?
もしくは、使命感の強い研究熱心なエジソンさんのことなので
素晴らしい発明をする活動は続けるものの、
今度はその発明成果をなかなか公に発表しなくなる可能性があります。
仮にもしそれにより、続いてエジソンさんに発明された「電球」が、世の中に発表されず、
「電球」という素晴らしい発明が、人々に使われないままになったら、どうでしょうか?
人類の進歩を大きく進めてきた「電球」が、研究所に眠ったままなんていうことは
非常にモッタイナイことです。
その状況を解決するために生まれたのが、「特許」という仕組みです。
日本では、新たな発明を生み出した場合に、「特許庁」という行政機関に
特許として保護してもらえるよう、出願申請をし、無事その発明が権利として認められれば、
発明をオープンにして、かつ違法にパクられることを防止することができるようになります。
そうすると、発明者が特許として
権利化された研究成果を広く公開しても、
勝手にそのアイディアをパクられたり、
損害賠償や差し止めをしたりすることができますし、
もちろん有料でライセンス料をもらって、
多くの企業などへ利用許諾をすることも可能です。
そうして発明者は、
以後熱心に研究活動を続けることができますし、
人類の発展のために研究成果である発明を、安心して公開することができます。
そうした仕組みに乗って、特許で億万長者になる人が生まれ、
それを見て、「自分も何か新しい発明をしよう!」と意欲を持つ研究者が増えていく。
まさにテクノロジーによる人類の進歩を促進する、
素晴らしい仕組み・エコシステムです。
▼発明から特許権利化まで
さて、こうして生まれた特許という仕組みですが、
権利化までには、いくつかステップがあります。
世界中どこでもおおよそ同じだと思いますが、
ここでは、日本の例について見ていきましょう。
<発明から特許権利化までのステップ>
①発明者が発明をする
②発明者が特許庁へ権利化できるよう出願申請をする
③特許庁がチェックして、出願受理する
④特許庁にて、特許権利化に値する内容か審査を行う
⑤特許庁より発明者へ審査結果を通知
⑥発明者は、審査OKの場合は、特許登録申請を行う
⑦晴れて権利化!
ざっとこんな流れです。
まず、審査はけっこうな厳しさがあると見てよいかと思います。
特許の審査基準として、主だったものは、
「新規性」と「進歩性」
というものがあります。
「新規性」というのは、その名の通り
過去に同等の技術がすでに世の中に存在すると認められているとダメだったり
存在しないものの、他者がすでにこっそーり、特許出願していたりすると
登録から弾かれます。
公開特許など見ていると、「拒絶査定」と表記されているものがそうですが
実際けっこうあるんですよ。
そのため、出願前には、過去に同等の技術があるかどうか、
綿密な調査が必要なのは当然なのはもちろんなのですが、
他者が出願して間もないものについては、
権利化・公開されるまでは一定期間未公開なので、
これと被らないかどうかについては
特許庁と出願人本人以外には、誰にもわからず
「新規性」の審査が通るかどうかは、
神田大明神様かお稲荷様に十分にお祈りする必要があります。
特許は「先願主義」といって、出願をした日付が早いほうを優先されるので、
各社こぞって一日でも早く発明をして、特許出願しようとしているのです。
これも発明を促進させる素晴らしい仕組みの一つですね。
さて、続いてもう一つの審査基準である「進歩性」ですが
簡単にいえば、容易に発明できそうな、しょぼい研究成果でないことを判断するものです。
なので、例えば
「人がカーテンにくるまって体を回転させることによる摩擦で電気を発生させる発電装置」
みたいな、誰でも考えられそうで、全然電力を得られなそうで、しょぼいため
おそらく出願しても、弾かれてしまうでしょう。
(もしホントに権利化されてたらすみません…)
しかしながら様々な分野の研究成果もあるでしょうし、
様々な人が脳をフル回転させて出願してくるわけですから、
しょぼいしょぼくない、容易か難しいかは
なかなか難しい判断ポイントなので、
この辺は、通るのか通らないのか、出願側からしたら難しいところでもありそうですね。
ちなみに僕自身、今日時点で、これまで数千特許は読んできてますが
登録されている特許の中で、実際しょぼいなと感じるものはけっこうあります。
「これを特許として出すなよ」
というのもありますし、
でも実際に登録されていたりするし
まあいろいろあるんでしょうね。
さあ、これらの基準を突破して晴れて得られるものが
「登録許可の権利」です。
そう、出願したら特許庁により
自動的に登録されるのではなく、登録の許可をもらえるんです。
この時点で、自身で特許登録をすることはできますが
特許登録をやめちゃうこともできます。
ここで特許の権利化登録を行うことで
晴れて権利として認められるわけです。
権利保有期間は、
一般的に20年とされています。
(例外として延長できる場合もあり)
なので頑張って権利化されてしまえば、
20年は安心して権利を保持できるということです。
ここまでくれば
めでたしめでたし…となるんですが
しかしながら、発明してから、権利化されるまで
かかる期間というのが
平均 約1年半〜2年程度
ながーいながーい期間をかけて、ようやく権利化できる特許。
2年かけて審査してもらって、その結果
「審査結果NG!」
なんて言われたら、けっこう心折れちゃいますね。。。
世の中の技術の進歩うスピードが上がってきているので
出願時にホットな技術でも
登録可能になる2年後には、もうホットじゃなくなる
なんてこと、ざらにあるので、
この辺は最近問題となっていて
それに対応すべく
出願から3ヶ月ぐらいで審査が終わる、
早期審査みたいなのも始まっています。
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/v3souki.htm
ということで、ここまでお話してきたのが、
ざっくりとした特許の概要ではありますが
ちょっと長くなってしまったので、
次回は、事業化の背景にもつながる、
特許と特許料の関係ついてお話をしたいと思います。
つづく
日本のR&Dと世界の未来をつなぐ
vol1.特許について
vol2.特許料について
vol3.事業化の背景
vol4.事業理念と本事業の意義
vol5.事業内容について
↓↓↓ぜひチェックしてください
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