【エンジニアかたぴの趣味日記】駐車について本気出して(数学的に)考えてみた

2019.01.21

 

皆様、初めましての方は初めまして。コアなファン獲得のためニッチなブログを書き続ける片平です。

 

昔は思考実験が好きでマイケル・サンデルの”これからの「正義」の話をしよう”などを読みふけったり、

頭を使わないと手が震える症候群に陥ったため、街中の白ナンバーにしている軽自動車の地域、年齢、性別を統計してどのような傾向があるか考察したりしていました。
が、ここ最近ぼけっとしていることが多くなり、このままじゃあかん!って思い立ったのでちょっと頭を働かせたいと思います。

 

 

・・・

 

 

普段は車に全く乗りませんが、帰省した時などに運転させられることがあります。こないだの年末年始の時は500kmほど運転(下道only)させられました。そんなとき「これぶつからないかな・・?」って思う場面がいくつかあります。

例えばこれ。

例1

 

駐車スペースの前に壁があるとき「後退中に前の壁とぶつかるんじゃね・・・?」って時。

 

例えばこれ。

例2

 

出庫の時、前に壁があって「これ、曲がりきれないんじゃね・・・?」って時。

 

上記2つについて考えたいと思います。

 

 

〜前提条件〜

 

①一般的な知識のみを使う。

 

②車種は弊社で使用されている社用車のアクア。

 年式とグレードがわからないためとりあえず最新車種のCrossover Glamってやつに設定。

 下記スペックは公式サイトから引用。

 ・最小回転半径 : 5400[mm]

 ・全長 : 4060[mm]

 ・全幅 : 1715[mm]

 ・全高 : 1500[mm]

 ・ホイールベース : 2550[mm]

 ・トレッド(フロント)  : 1465[mm]

 ・トレッド(リア) : 1460[mm]

 ・最低地上高 : 170[mm]

 ・フロントオーバーハング : 855[mm]

 ・リアオーバーハング : 655[mm]

 ・タイヤ : 185/60R15

 

③バンパーの丸みは考慮しない。長方形の車として計算を行う。

 

 

左が実際の車(マーチにしか見えない)。CADデータがない&開くソフトがないので、バンパーの丸みは考慮せず、またミラーも考慮しない。

 

④ハンドル角はフル転舵のみとする。

今回はハンドルの微調整などは行わずフル転舵のみで曲がることを想定します。

※ハンドル角・・・ハンドルが真っ直ぐの時を0度。右に1周したら360度とする。

 タイヤ角・・・タイヤが真っ直ぐの時を0度。

 フル転舵・・・左右どっちかにハンドルを切って、ハンドルロックされている状態のこと。

 

⑤ハンドルを切る時のタイヤは軸に直接くっついてるものとする。

タイヤを切った時は本来下図のようになります。

 

 

上記の左図が実際のハンドルを右に切った時のタイヤの挙動です。タイヤを固定する軸があり、別の軸でタイヤを切ります。今回ここまで測定はできないため、右図のように軸に直接タイヤがくっついてることとし、タイヤの中心を軸に曲がることとする。

 

 

〜検証開始〜

では求めていきましょう!

まず、そもそも車ってどんな感じで曲がるのか。ハンドルを切ったまま一定に走ったら以下のようになるはず。

 

 

図のように円を描きます。円を描くということは、円の中心があるということ。

※ここでは駐車と限定しているため、遠心力の影響を受ける30km/h未満とし、遠心力によるコーナリングフォースは無視、またスリップアングルも同様に無視します。30km/h以上で駐車する奴は知らん。

実際やってみるとスリップアングルは10km/hくらいから発生するけど・・・まぁ気にしない。

あと、4WS(四輪操舵)機能を持った車は無視します。ビットアサイン表でもない限り無理っす。

 

では円の中心を求めましょう。一般的な車はハンドルを切ると前輪が曲がり、後輪は固定されています。

アッカーマン・ジャントー理論から、円の中心は後輪軸の延長線上にあります。ここで、最小回転半径との関係は以下のようになるはずです。

 

 

最小回転半径の時はフル転舵と想定します。ご存知の通り、ハンドルを切った時の前輪は左右でタイヤ角が違います。よって左右それぞれのタイヤ角を求める必要があります。

 

最小回転半径、全幅から以下のようになるはずです。

 

 

後輪軸の延長線と円の中心からなる辺と、円の中心からそれぞれの前輪軸と交わる辺の角がそれぞれのタイヤ角になるのは自明なので省略します。

 

次にトレッド幅を考慮します。トレッド幅とはタイヤ中心からタイヤ中心までの距離を指します。実際の車はボディと並行してタイヤがあるわけでなく、以下のようになります。わかりやすく横にデブらせました。

 

 

実際のタイヤは図のようにボディの内部にあります。このボディとタイヤの空間の理論値を求めると、

前輪側 = { 車幅 ー (タイヤ幅 + フロントのトレッド幅)} ÷2= +32.50[mm]

後輪側 = { 車幅 ー (タイヤ幅 + リアのトレッド幅)} ÷2= +35.00[mm]

となり、実際に空間があることがわかります。よってボディとタイヤの空間を考慮しタイヤ角を求める必要があります。

 

 

左前輪で考えていきます。以下のように置きます。

点において、

円の中心(以下O)から左前輪の中心との接点 : fw

Oとfwの辺とボディの接点 : bfw

Oと左後輪の中心との接点 : rw

Oとrwの辺とボディの接点 : brw

fwからの垂線とOとrwの辺との接点 : dfw

とすると、辺は以下と置き換えることができます。

Oとbrwの辺 = 最小回転半径( minR ) ー 車幅 ( vw )

fwとdfwの辺 = ホイールベース( wb )

brwとdfwの辺 = 前輪のボディとタイヤの空間( fbt )+タイヤ幅( wt ) ÷ 2

 

となるため、左前輪のフル転舵時のタイヤ角θは以下となります。

θ = arctan{ ( wb / ( minR – vw + fbt + wt / 2 ) } ≒ 33.79度

まぁこんなもんでしょうね。右前輪は36度くらいかな。あれ?なんでこんなこと求めてるんだっけ?あぁハンドル角が動的な場合を考察するのに必要なのか。今回必要なかった。

 

次に右フロントバンパーの軌跡を求めます。

 

 

軌跡は円とわかっているため、円の中心(0, 0)とし、半径を求めておしまいです。

ホイールベース : wb

フロントオーバーハング : fo

最小回転半径 : minR

半径 r = √{ (  wb + fo )^2 + minR^2 }

r ≒ 6383.89[mm]

 

ここで例1を見てみましょう。これは以下のように、赤点が描く”円”と壁という”直線”が交わるかどうかで求めることができます。

 

 

スプレッドシートで実際の軌跡を描こうと思いましたが、どうにも細かい調整ができませんでした。エクセル優秀だった。なので数式のみでご勘弁を。

 

まず車と壁の隙間がまったくない状態を考えます。

赤点の方程式 : x^2 + y^2 – r^2 = 0 ( r = 6383.89 )

壁 : x = mixR   ( = 5400 )

計算するまでもなくぶつかってるぅぅぅうううう。

では車から壁までどれだけオフセットすればぶつからないか考えます。

壁 : x = 5400 + k

k ≒ 983.89[mm]

自車から壁までだいたい1mあればぶつからない計算となりました。実際はバンパーの丸みが考慮されていないのでもう少し短いですが、思ってたより距離が必要なんだなってわかりました。

 

 

余談ですが、後退の場合、後輪タイヤの方向は固定されているため、低速だろうとスリップアングルは発生する。

 

 

横力って単語は違うかも。単純にコーナリングフォースでいいのかな。

 

次に例2を考えていきたいと思います。

 

 

上図のように、フル転舵で旋回した時の安全マージンを求めたいと思います。

って言っても、例1とさほど変わりません。右のフロントバンパーの半径は出ているので、以下の式が成り立ちます。

安全マージン = r – fo – wb ( ≒ 2978.89[mm] )

 

壁まで3mあれば旋回できちゃう計算ですね。でもフロント(正確にはナンバープレート)から3mってどの辺じゃ?ってなりません?

 

 

 

 

CADデータがないんで、ちょーアナログ戦法で攻めます。さっき横から写真を撮ってきました。歪みとかありますが、カメラは詳しくないのでその辺はスルーします。あとこれグレードが全然違うね。。。

 

まずメモリが25.3個くらい?全高は1500[mm]なので、

1メモリ = 59.289[mm]

 

試しに横を測ってみる。

 

 

ホイールベースがメモリ46個分。

46 × 59.289  = 2727.3[mm]

※実際のホイールベース = 2550[mm]

 

・・・まぁ・・・だいたい合ってる。18cmも違うのか・・・

 

 

頭の位置はたぶんこのくらいのはず。

目の位置はフロント軸から21メモリ(=1245.10[mm])、下から22メモリ(=1304.46[mm])

フロント軸に垂直な線とボンネットギリギリの目線までが18.1メモリ(=1073.13[mm])

 

以上から、ドライバー視点から見える壁と地面の境界線から、フロントバンパーまでの距離を求めます。

 

 

フロントバンパーから壁までの距離をxとすると、

( x + fo ) : 1073.13 = ( x + fo + 1245.1 ) : 1304.46 ⇔ 4920.50[mm]

 

・・・え?ホントに?5mもある?どっか計算ミスってない?・・・うぅぅぅこれは実測値がほしいいいいいいい

※信号待ちしているアクアを観察したら5mくらいありました。持っててよかったレーザー距離計。

 

結果として、壁と道路の切れ目が見えているうちは余裕で曲がり切れますよってことでした。もっと詰めたいけど方法が思いつかない・・・ピラーとかハンドル上部から壁と道路の切れ目とか求めたいけど写真が・・ない・・・・無念・・・

 

 

おまけ

なんか最初に求めたタイヤ角がもったいないんで、一部利用して内輪差を求めようかと思います。

内輪差ってご存知でしょうか?内側に曲がるとぶつかるやつです。実際にはこんな感じです。

 

 

前輪より後輪のほうが手前に旋回する差のことを内輪差と呼びます。偏摩耗していないタイヤと想定(アライメントも正常)して、タイヤの真ん中で計算してみます。

前輪の半径( r1 ) :タイヤ角がわかっているので、

r1 = wb / sinθ ≒ 4585.09[mm]

後輪の半径 ( r2 ) :最小回転半径 ー 車幅 + タイヤ半分 + ボディとタイヤの空間

r2 = 3812.50[mm]

 

内輪差 ≒ 772.59[mm]

 

 

出庫時に前輪軸が他車のフロントバンパーと平行の時にだいたい80cmあれば当たらないことになります。ミラー分考慮すると実質70cmくらいですかね。

 

 

以上で検証終了です。

数式、計算ミスしていたらごめんなさい。。。

 

ぶっちゃけると、車ぶつけたくないならこんな計算なんてせず、ぶつかりそうだったら一度車から降りて実際に見て「このくらい隙間があるのか」って実感した方が早いし車両感覚も身につきます。 by 5cm刻みで幅寄せができるようになった私。

 

あー楽しかった。ちょっと物足りないけど。計算してるとテンションあがってくるんですよね。今後もちょくちょく数学がらみのブログでも書いてみるのもいいですね。

 

 

ではまた。

 

 

 

 

あ、ちなみにフロントバンパーの丸みを考慮すると値が結構ずれます。

 

 

車種にもよりますが、ほとんどの車の場合は上記のように”前輪から一番近いカーブの部分”が接触ポイントになるからです。

※フル転舵時のみ


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